根拠を作れない人たち(前編)
システムの要件定義のフェーズでは、事前に確認した現状業務の情報から、どの部分をどのようにシステム化するかを導きだして顧客に提案する。
たとえば現状業務の事実が20ケースあるとしよう。20ケースのそれぞれについて、こうシステム化します、といったところで、顧客は納得するだろうか?
それでは、どんな人でも納得することはできない。
なぜなら20ケースはあくまで現時点で見えているケースであり、他に漏れていないとは誰も断言できないからだ。
では、漏れていないことを納得させるには、一体どうしたらいいのか?
現状業務の事実はあくまで点情報である。点情報のままでは、漏れているかどうかはわからない。漏れていないことを検証するには、点情報を面にして面で全体をもれなく埋めるしかない。点情報を面にするとは、点情報を抽象化してパターン分類し、判明している点情報がすべていずれかのパターンに分類されること、パターンが全体を網羅していることを示す必要がある。パターンが全体を網羅しているとは、パターン自体がMECEになっているということで、たとえば、時間軸で隙間なく分解したり、以前このブログで議論した反対語で分解したりすることである。
このように、現状の事実をもれなく抽象化されたパターンに分類した上で、パターンそれぞれについて、この部分はこういう理由でこうシステム化する、この部分はこういう理由でシステム化せずに人間系で運用する、と説明することで、顧客は検討漏れを心配することなく、理由とシステム化イメージの議論に集中できる。
(後編に続く)
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