根拠を作れない人たち(後編)
前回の記事で、顧客に納得してもらえる資料をつくるには、点情報の事実をMECEになるようにパターン分類して全体を網羅した上で、そのパターンを根拠としてパターンそれぞれについて対策を考えて提案することが必要だと書いた。 さて、以前、「2006年09月17日 わからないことを聞かない人たち」の記事で登場した人たちは、これがうまくできなくて、顧客に納得してもらえる資料を作ることができなかった。興味深いことに、うまくできない理由がまた、3人3様なのである。 Aさんは、パターン分類そのものができない。抽象化そのものが難しいようで、どうしても点情報の事実に対しての対応策しか作れないのである。 Cさんは、一応パターン分類をしようとする。しかし、いま見えているすべての点情報がパターンにおさまった時点で、考えることをやめてしまう。つまり、パターン自体がMECEになっているかどうかの検証を行わないのである。そのため、パターン分類自体にモレがあることに気づかない。 Bさんは、パターンが出てくれば、パターンがMECEになっているかどうかを論理的に検証できる。しかし、経験が浅く、パターンのストックが少ないために、その場その場に応じた適切なパターン分類を見つけ出せない。 このことから、事実から根拠を作り出すには3つの能力が必要だということがわかる。 1.事実を抽象化してパターン化する能力 2.パターンがMECEになっているかどうかを論理的に検証する能力 3.パターンの分類軸のストック では、この能力を鍛えるにはどうしたらいいのだろう? 数学の問題を解く例に当てはめて考えると、この能力のレベルには大きく2つのレベルがあると思う。 1つ目は、いくつかの公式を覚えて、問題を解くのに適当な公式を当てはめて問題を解くレベル。 2つ目は、問題から新たな公式自体を見つけ出して問題を解くレベルである。 とすると、2つ目のレベルは難しいとしても、1つ目のレベルは訓練次第で何とかなりそうだ。 事実から根拠を作り出すときの公式にあたるものは、たとえば「5W1H」や「人・物・金・情報」や「マーケティングの4P」、「2006年05月27日芋づる式分解」の記事で書いた「処理に関わる4つの外部要素」や「データを操作する4つの処理」といったよく使われるMECE分類の軸である。これらの公式を知っていて、い