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言葉の定義

 先日、客先で資料をレビューしているとき、自分がやたらと言葉を区別したり定義したりするための発言をしていることに気がつきました。たとえば、「このポリシー設定には、みんなで使う物を設定する場合と、特定の人が一時的に使うものを設定する場合とが含まれていますね。前者を共用ポリシー設定と呼ぶことにしませんか?」とか、「マイポリシー設定という言葉は、パッケージで使われている言葉ですが、要求される機能と一致しているかどうか現時点では分からないので、要求される機能のほうは別の言葉にしませんか?」というように。  そういえば、SIの仕事を始めたころ、一緒に仕事をしていたmokurenさんが常にそういう発言をしているのを見て、うるさいと感じるほどやけに厳密に言葉を使うなということと、この言葉が今あいまいだというのがなぜ即座に分かるんだろう、と思っていたことを思い出しました。  開発の仕事をしているときは、長年同じ人たちと同じような仕事をしていたので、都度都度言葉を厳密に定義しなくても、各自が勝手にそこで使われている言葉の意味を調整・学習することで会話が成り立っていました。  しかし、短期間で新しいお客様と開発するシステムを検討・合意してシステムを構築するSIの仕事の場合、言葉があいまいなままお客様と合意したと思っていても、それは合意したことにはなりません。私は、SIの仕事でお客様とのコミュニケーションを繰り返すうちに、いつの間にか、言葉があいまいだということが判断できるようになっていたのです。  では、私はどうやって言葉があいまいだということを判断しているのでしょうか?実際には、あいまいな言葉に遭遇すると、判断しているというよりも「気持ち悪い」と感じて反応しているようです。以前は言葉があいまいでも「気持ち悪い」と感じられなかったのに、なぜ今は「気持ち悪い」と感じるのでしょう?  そのときに私の頭の中でやっていることをイメージしてみると、たとえば、電球を換える時の踏み台に椅子を使おうとしてその椅子に乗っても大丈夫かを確認しようとするとき、椅子をゆすってみてぐらぐらしないかどうかを確認しますね? それと同じようなこと、つまり「言葉をゆする」ようなことをしているようです。  では、言葉をゆする、とは具体的にどういうことをして何を確認しているのでしょう?  これは、ちょっと簡単には言葉にでき

対談:なぜ新たなブログを立ち上げたのか?その4

koppe: では、もうひとつの観点、ユーザ側の要求の情報が不足しているという点ですが、今まで、われわれが関わったプロジェクトでは、要件定義をすすめていくうちに、つぎつぎとユーザから聞いていない例外などの事実が明らかになってきたことがよくありましたね。 実は、ユーザは要求の元になっている自らの現状業務の事実をあまりよく知らないんじゃないかという気がしますが。 mokuren: これは先ほども述べたように、ユーザ側が自分たちの要求をベンダに分かりやすいように伝えようとするあまり、できるだけITよりの表現で自らの要求をベンダに伝えようとするところに問題があるような気がします。 ところがこれだと、自らの業務の詳細を知らなくても要求を定義できてしまうことになります。 とくに、CRM領域の場合、ユーザ側の情報システム部門が要求定義した場合、その問題が大きくなるような気がします。 koppe: つまり、こういうことですか? たとえば英語が不得手な人が米国人に対して自分で使える英語の範囲で意図を伝えようとするとあまり細かいことは表現できませんね。だから、結果として細かいことに触れる必要がなくなる。それと同じように、ITに詳しくない人がITに変換するから、変換元の細かいことに触れる必要がなくなる。 逆にもし、ITに変換せずに業務をそのまま伝えようとするなら、自らが自らの業務を良く知らないことに触れざるをえなくなる。 mokuren: そうです。 koppe: では、ユーザ側が要求としてITに変換せずに現状業務をそのまま提示するなら、要求情報の不足は解決するのでしょうか? mokuren: 半分は満たされると思いますよ。 koppe: 残りの半分は? mokuren: 現状ではなくこれからの業務をどうするか、その情報がそこには存在しない。 koppe: なるほど。 そこには新しいITがはいってくるから、ITへの変換が必要になってきますね。 mokuren: そうです。 koppe: ということは、見積もりが狂わないような要求情報は、現状業務がどうなっているのか、これからの業務を新しいITを含めてどうするのかが明確化されているもの、ということになりますか? mokuren: いや、これからの業務を新しいITを含めてどうするのかが明確化にさえなっていれば、ベンダ側から見れば見積もりはそん