MECEと目的

 いよいよ目的が出てきましたね。特にビジネスにおけるMECEの思考法には、まずこの目的が必要と思います。そこでせっかく目的が出てきたので、それをもう少し掘り下げてみることにしょう。
 まず、部分になりそうなものを1つ挙げます。次に、それ以外を挙げてみます。そして、この二つですべてが言い表せる全体を表現してみます。たとえば「前」とするとそれ以外は「後」となります。前と後で全体をカバーしていますね。逆に言うと、「全体」には「前」と「後」がある、と言えます。ところが、この分け方だと目的は必要ありませんね。必ずしも、MECE的思考法で分けるときに目的が必要なわけではないのです。
 しかし、本当にこの「前」や「後」に分ける場合に目的はないのでしょうか? ここで、もっと基本に返って見ましょう。もともと言葉が、存在するだけで区別することを行っていると以前説明しました。このことを逆に考えると、区別したいから言葉があるともとえることができます。そうすると、「前」や「後」も何かを区別したいから言葉として存在するといえます。
 問題はこの何かです。たとえば「前」と「後」。これは「前後」という対の言葉になっています。きわめて結びつきが強い言葉です。これは、人間の概念のなかで、空間上または時間上の位置関係を相対的に区別するための言葉であり、人間の基本的動作の目的を思考するための必須の概念からきているのだと思われます。
 結局、「前」や「後」を区別するために目的が必要ないのではなく、あまりにも当たり前の目的だから、それを目的と思わないのではないでしょうか。
 この当たり前の目的を目的と意識したとき、MECE的分解は、MECEの説明の分類をしたときのようなより高度な抽象的な目的から、「前後」のときのような当たり前の目的までの、すべてのレンジにおいて、目的から紐解けると言えると思います。

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