「関係」の難しさ

 mokurenさん、ここまでの議論のあらすじをうまくまとめてもらって助かりました。今後も定期的にお願いします。
 さて、前回、「関係」と「分解」と「具体例」の中で、私にとって一番簡単なのは「具体例」だと書きました。では、私にとって一番難しいのはどれだと思いますか?実は「関係」なんです。
 「関係」と「分解」が「遠ざかってみる」と「近づいてみる」だとすると、方向が正反対なだけで、あとはほとんど同じだと想定することが出来ます。
 実際、4月8日の記事で「分解」「関係」のそれぞれについてMECE的分解で明確化する手順を検討しましたが、分析結果だけを比較すると、その難しさにはあまり違いがないように思えます。しかし、私にとっては明らかに「関係」のほうが難しいと感じるのです。それはなぜでしょうか?「分解」は、分解する対象が外枠(つまり「全体と部分とそれ以外」の「全体」)になるので、その外枠の中にある具体例を挙げて分析することが出来ます。ところが、私が「関係」を考えるとき、分析のスタート時点では外枠が決まっていないようなのです。
 4月8日の分析結果では「MECEに関するWebサイトの中で」「自分たちのサイトの位置づけを明確化する」となっていて、あたかも最初から外枠が決まっているように書いています。しかし、実は分析の最初の動機は「Webサイトの中で」「自分たちのサイトの位置づけを明確にしたい」だったのです。「Webサイトの中で」も外枠といえば外枠なのですが、この外枠ではあまりにも範囲が広すぎてその中に存在するものは千差万別、どこから分析の手をつけていいかわかりません。私の頭の中では、まるで「軽井沢」の位置づけを明確化するために「世界地図」を使って分析しようとするようなものです。したがって、この状態から何とかして目的に対して現実的なより絞り込まれた「MECEに関するWebサイト」という外枠を見つけ出さなければ「関係」を分析することができません。この「外枠を見つける」という部分が、私にとって難しいのだと思います。
 では、なぜ「外枠を見つける」のが難しいのでしょう?適切な「外枠」は「Webサイト」と「自分たちのサイト」の間にあるはずです。しかし、「Webサイト」と「自分たちのサイト」の間にはそれこそ無数の「外枠」の候補が存在します。たとえば、テーブルの上においてある円柱を遠ざかってみるとき、遠ざかる方向を横にした場合、上にした場合、下にした場合、円柱の周りに見えるものはガラリと変わってしまいます。また遠ざかる距離が離れれば離れるほど、視界に入ってくるものが多くなります。この視界が「外枠」だとすれば、ズームアウトの方向と距離の組み合わせの数だけ、外枠の選択肢が存在することになります。
 結局、目的に対して適切な結果を得るために、無数に存在する外枠の選択肢の中から、適切なズームアウトの方向と距離の組み合わせを見つける、この部分が私にとって「関係」が一番難しいと感じる原因のようですね。

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